「あれ、何をしようとしてたんだっけ?」
こんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。
私たちは日々、膨大な情報に囲まれ、やるべきことに追われています。そのため、うっかり大事なことを忘れてしまうのは仕方のないことかもしれません。しかし、ちょっとした工夫や習慣を身につけることで、記憶力を大きく向上させ、忘れ物を減らすことは十分に可能です。
この記事では、脳科学に基づいた「大事なことを忘れないための実践的な方法」をご紹介します。今日からすぐに試せるものばかりですので、ぜひあなたの生活に取り入れてみてください。
なぜ、人は忘れてしまうのでしょうか?
忘れることは、実は脳の正常な機能の一部です。
脳は常に新しい情報を取り入れ、同時に不要な情報を整理・削除することで、効率的に活動しています。しかし、重要な情報まで忘れてしまうのは困りものですよね。忘却の主な原因としては、以下のような点が考えられます。
- 情報の洪水: 現代社会は情報過多。脳が処理しきれないほどの情報に触れることで、本当に必要な情報が埋もれてしまうことがあります。
- 注意力の散漫: スマートフォンやインターネットなど、私たちの注意を容易に散漫にさせる要素が多く、一つのことに集中しにくい環境が記憶の定着を妨げることがあります。
- 睡眠不足: 睡眠中、脳は日中の出来事を整理し、記憶として定着させる大切な作業を行います。睡眠が不足すると、このプロセスが阻害され、記憶力が低下してしまいます。
- ストレス: ストレスは脳の機能に悪影響を及ぼし、集中力や記憶力をも低下させることが知られています。
チェックリストを賢く活用する
大事なことを忘れないための最もシンプルでありながら、非常に効果的な方法の一つがチェックリストの活用です。特に、複数の手順を伴う作業や、繰り返し行うタスクにおいて、その力を発揮します。
例えば、外出前に「鍵、財布、スマートフォン、マスク」といった必需品を声に出して確認する習慣をつければ、うっかり忘れ物をすることは格段に減るでしょう。買い物に行く前には必要なものをリストアップし、購入したらチェックを入れることで、買い忘れを防げます。また、仕事のタスクや、旅行の準備、引っ越しといった大がかりなイベントの際にも、詳細なリストを作成することは安心感につながります。
チェックリストをより効果的に使うためには、いくつかコツがあります。
漠然とした表現ではなく、「牛乳 1リットル買う」「〇〇さんへのメール返信」のように具体的に記述すること。緊急度や重要度に応じてタスクに優先順位をつけること。そして、完了したら忘れずにチェックを入れることで、達成感を得ながらモチベーションを維持できます。
作成したリストは、デジタルでも手書きでも構いませんが、常に目に触れる場所に置くのがポイントです。
- 牛乳1リットル買う
- 〇〇さんへのメール返信
- xxxxx
- xxxxx
- xxxxx
チェックリストの絶大な効果については、医師であり作家でもあるアトゥール・ガワンデ氏の著書『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】』で詳しく紹介されています。医療現場や航空業界など、ミスが許されない分野でいかにチェックリストが命を救い、成果を高めているかが具体的に語られており、私たちの日常にも応用できるヒントが満載です。もし、チェックリストの活用法をさらに深く学びたいなら、ぜひ一読をお勧めします。
カレンダーへの確実な入力
約束やイベント、締め切りなど、日付や時間に紐づく情報を忘れないためには、カレンダーへの確実な入力が不可欠です。デジタルカレンダーも紙のカレンダーも、それぞれ異なるメリットを持っているので、ご自身のライフスタイルに合わせて使い分けるのが良いでしょう。
GoogleカレンダーやOutlookカレンダーのようなデジタルカレンダーは、スマートフォンやPCからいつでもどこでも確認でき、非常に便利です。予定の数日前や数時間前に通知が来るようにリマインダーを設定したり、毎週の会議や毎月の支払いなど、定期的な予定は自動で繰り返し設定したりできます。家族や職場のメンバーと予定を共有できる機能も、現代では欠かせない要素です。さらに、場所のURLや関連資料のリンクなど、詳細情報をメモとして追加しておけば、必要な時にすぐに情報を引き出せます。
一方で、手書きで予定を書き込むことを好む方や、デジタルツールが苦手な方には、紙のカレンダーや手帳が有効です。手で書くという行為は、脳に情報をより強く定着させる効果があると言われていますし、全体的なスケジュールを一目で把握しやすいというメリットもあります。イラストや色ペンを使って、自分好みにカスタマイズするのも良いでしょう。
予定が決まったら「後で入力しよう」ではなく、その場ですぐにカレンダーに登録するのが、忘れないための鉄則です。また、「〇〇さんの誕生日」だけでなく、「〇〇さんの誕生日プレゼント購入」のように、関連するタスクも細かく入力しておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。プライベート、仕事、健康など、予定の種類によって色分けすると、視覚的にわかりやすくなり、管理がよりスムーズになります。
記憶力を高めるための習慣
日々のちょっとした工夫も大切ですが、根本的に記憶力そのものを高めることも、忘れ物を減らす上で非常に重要です。脳の健康を保ち、記憶力をサポートする習慣を身につけていきましょう。
まず、脳の健康をサポートする生活習慣として、十分な睡眠が挙げられます。睡眠中に脳は日中の情報を整理し、記憶として定着させる大切な作業を行うため、質の良い睡眠を7~8時間確保することを心がけてください。次に、バランスの取れた食事も重要です。脳の働きをサポートするオメガ3脂肪酸(青魚など)、ビタミンB群、抗酸化物質(緑黄色野菜など)を意識して摂るようにしましょう。また、適度な運動も記憶力向上に繋がります。運動は血行を促進し、脳への酸素供給を増やすことで、脳細胞の活動を活発にすると言われています。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で継続してみましょう。最後に、ストレス管理も忘れてはなりません。過度なストレスは記憶力に悪影響を与えるため、リラックスできる時間を作り、趣味や瞑想、深呼吸などでストレスを解消する方法を見つけることが大切です。
そして、情報をただインプットするだけでなく、アウトプットすることで、記憶はより強く定着します。学んだことや覚えたいことを誰かに話してみる、手書きでメモを取る、あるいはブログやSNSで自分の言葉でまとめて発信してみるのも良いでしょう。これらの行為は、情報を整理し、脳に深く刻み込む手助けをしてくれます。
特定の情報を効率よく覚えるためのテクニック、いわゆる記憶術も活用できます。例えば、多くの情報を意味のあるまとまり(チャンク)にすることで記憶しやすくする方法があります。電話番号を3桁ずつ区切って覚えるのがその典型例です。また、覚えにくい情報には、面白い語呂合わせを作ってみるのも有効です。さらに高度な方法として、「場所法(記憶の宮殿)」という、記憶したい項目を馴染みのある場所(自宅など)の特定の場所に配置していくイメージトレーニングもあります。これは複雑な情報を体系的に記憶するのに役立ちます。
まとめ 大切なことを忘れない秘訣は「チェックリスト」と「カレンダー」
「大事なことを忘れない」というのは、単に生まれ持った記憶力の良さだけではありません。日々の生活習慣を見直し、情報の整理方法を工夫し、そして何よりも脳の健康を意識することで、対応漏れを防ぐことができます。
- チェックリストの活用
- カレンダーへの入力
- 上記の定期的なチェック
今日からできる小さなことからで構いません。ぜひ、この記事でご紹介した方法の中から、あなたに合ったものを見つけて実践してみてください。きっと、あなたの毎日がもっとスムーズで快適になるはずです。