怒りが抑えられないときの対処法|爆発を防ぐ4ステップと怒りやすさを減らす方法

腹が立った瞬間に強い言葉を返し、後になって後悔する。怒らないようにしようと思っていたのに、家族や同僚の一言でまた声を荒らげてしまう。そんな状態が続くと、自分はなぜ怒りを抑えられないのだろうと不安になります。

怒りへの対処には、大きく二つあります。

すでに沸いた怒りを爆発させないことと、そもそも強く怒る場面を減らすことです。

腹が立っている最中は、怒りを消そうとするより、後悔する行動を増やさないことを優先します。落ち着いた後は、自分が何に反応したのかを振り返り、期待や価値観、受け止め方、心身の余裕を調整していきます。

今まさに怒りが爆発しそうなら
  • 返信・投稿・大事な判断をいったん保留する
  • 話し続けるほど興奮するなら、その場から離れる
  • 落ち着いてから、何を変えてほしいのかを言葉にする

まずはこの3つだけ実行してください。

目次

怒りが爆発しそうなときの4ステップ

怒りを感じること自体を止める必要はありません。理不尽な扱いを受けた、約束を破られた、不公平だと感じた。腹が立つのには、それなりの理由があることも多いでしょう。

問題になりやすいのは、その勢いのまま怒鳴る、強い言葉を送信する、物に当たるなど、後から取り消せない行動に移ってしまうことです。

STEP
すぐに反応しない

腹が立った直後には、答えを出さないようにします。

対面なら少し黙る。メールやチャットなら送信しない。SNSなら投稿しない。スマートフォンをいったん置くだけでも構いません。

アンガーマネジメントでは、怒った直後に6秒待つ方法もよく知られています。

ただし、6秒経てば怒りが消えるという意味ではありません。日本アンガーマネジメント協会も、6秒を反射的な言動による最悪の事態を防ぐための時間として説明しています。

数秒で足りなければ、もっと時間を取って構いません。

STEP
必要ならその場から離れる

話し続けるほど怒りが強くなるなら、いったん物理的に距離を取ります。

別の部屋へ移る。少し歩く。電話ならいったん切る。チャットなら返信を止める。

何も言わずに立ち去ると別のトラブルになりそうなら、今は冷静に話せないので少し時間を置きたい、と短く伝えます。

その場を離れることは、問題から逃げることとは限りません。怒りに任せて相手を傷つけるより、話せる状態まで会話を中断するほうが建設的な場合があります。

STEP
体の興奮を下げる

距離を取ったら、ゆっくり呼吸する、肩や手の力を抜くなどして体を落ち着かせます。

今の怒りを0から10で表してみてもよいでしょう。普段なら4程度なのに今日は8だと分かれば、まだ話を再開しないほうがよいと判断できます。

怒りの原因について何度も考え続けるより、呼吸や目の前にあるものなど、いったん別の対象へ注意を向ける方法もあります。

目標は怒りをゼロにすることではありません。相手を傷つけずに考えたり話したりできる状態まで戻ることです。

STEP
落ち着いてから要求に変える

話せる状態になったら、相手をどう責めるかではなく、何が問題で、これからどうしてほしいのかを整理します。

たとえば、いつもいい加減だと責めるより、遅れると分かった時点で連絡してほしいと伝えたほうが、問題が明確になります。

家族が片付けをしないことに腹が立っているなら、だらしないと責めるのではなく、使ったものはその日のうちに戻してほしいと具体化します。

大切なのは6秒という数字ではなく、怒りと行動の間に時間をつくることです。

衝動的な反応を止めたうえで、必要なことは落ち着いて伝えます。怒りをただ飲み込むのではなく、必要な要求へ変えるところまでが対処です。

怒りを繰り返さないために見直したい3つのこと

怒りが落ち着いても、同じことで何度も爆発しているなら、その場の対処だけでは疲れてしまいます。

怒りの強さは、目の前の出来事だけで決まりません。同じ一言でも平気な日と許せない日があるように、出来事をどう受け止めたか、自分が何を当然だと思っていたか、その日にどれだけ余裕があったかによって反応は変わります。

事実と自分の解釈を分ける

相手が約束の時間に20分遅れた。これは確認できる事実です。

一方で、自分を軽く扱っている、わざと待たせた、自分との約束などどうでもいいと思っている、という部分には解釈が含まれています。

本当に軽く扱われている可能性もあります。しかし、理由を確認していない段階では別の事情も考えられます。

実際に起きたことは何か。
自分はそこにどんな意味を付け加えたか。

相手を好意的に解釈するためではありません。まだ分からないことまで事実として扱い、怒りを必要以上に大きくしないためです。

怒りの奥に、不安、悲しみ、失望、傷つきなどがある場合もあります。

連絡がなくて不安だった。無視されたようで悲しかった。期待していたから失望した。怒りには必ず別の感情が隠れていると決めつける必要はありませんが、なぜこれほど腹が立ったのだろうと感じたときには、怒る直前の気持ちを振り返ると、本当に伝えたいことが見つかる場合があります。

自分の当然を相手にも求めすぎていないか

怒りが繰り返される場面には、自分なりの期待やルールが隠れていることがあります。

時間は守るべき。連絡にはすぐ返すべき。家族なら言わなくても分かるはず。仕事ならこれくらいできて当然。

こうした価値観を持つこと自体が問題なのではありません。ただ、自分にとっての当然が、相手にも共有されているとは限りません。

イラッとしたときには、自分は何を期待していたのか、その期待を相手に伝えていたのかを確認します。伝えていない期待なら、腹を立て続けるより具体的に共有するほうが解決につながります。

さらに、自分の基準を次の3段階に分けると整理しやすくなります。

範囲考え方
許容できる自分の希望とほぼ同じ約束の時間までに来る
まあ許容できる理想とは違うが実害は小さい連絡があり10分遅れる
許容できない実害が大きく受け入れられない何度も無連絡で大幅に遅れる

何でも許せる人になる必要はありません。

本当に譲れないことと、自分とは違うだけのことを区別することが大切です。

一方で、無理な要求や人格を傷つける言動などまで我慢する必要もありません。許容範囲を広げることと、自分に必要な境界線をなくすことは別です。

心身の余裕が減っていないか

考え方だけでなく、疲労や睡眠不足、空腹、長く続くストレスなども見逃せません。

よく眠れた日なら流せる一言が、残業続きで寝不足の日には許せないことがあります。

毎回帰宅後に家族へ強く当たってしまうなら、怒り方だけを直そうとするより、帰宅直後には難しい話をしない、少し休んでから家事に入るなど、怒る前の条件を変えられるかもしれません。

予定を詰め込みすぎない。睡眠不足を放置しない。一人で落ち着ける時間を確保する。

怒りが起きやすい条件そのものを減らせるなら、怒ってから毎回抑えるより負担は小さくなります。

同じ怒りを繰り返すならアンガーログをつける

何に怒りやすいのか自分でも分からない場合は、怒った場面を簡単に記録してみます。

アンガーマネジメントでは、この方法をアンガーログと呼びます。

アンガーログに記録すること
  • 何が起きたか
  • 怒りの強さは0〜10ならどの程度か
  • 相手に何を期待していたか
  • どんな「べき」が頭に浮かんだか
  • そのとき疲れていたか
  • 実際にどんな行動を取ったか

何日か記録すると、疲れている夜に家族へ怒りやすい、時間を守らない人に強く反応する、自分だけ負担していると感じると怒りやすい、といったパターンが見えることがあります。

目的は自分を反省させることではありません。次に同じ条件をつくらないための材料を集めることです。

パターンが分かれば、期待を事前に伝える、役割分担を変える、許容ラインを見直す、重要な話をする時間帯を変えるなど、具体的な予防策へつなげられます。

6秒待つ、怒りを数値化する、怒った場面を記録する、自分の中にある「べき」を見直すといった方法は、アンガーマネジメントで用いられる代表的な考え方です。詳しく学びたい場合は、安藤俊介『アンガーマネジメント入門』も参考になります。

怒りが抑えられないのは病気?相談を考える目安

怒りっぽくなったからといって、それだけで何らかの病気だと判断できるわけではありません。

ストレスが重なったときに、イライラしたり怒りっぽくなったりすることはあります。厚生労働省も、こうした変化をストレスのサインの一つとして紹介しています。

気をつけたいのは、怒りだけでなく心身の不調が続いている場合や、仕事・家庭・人間関係への影響が大きくなっている場合です。

相談を考えたい目安
  • 眠れない状態が続いている
  • 気持ちの不安定さや強い疲労が続いている
  • 何もする気になれない状態がある
  • 怒りによって仕事や家族関係に大きな支障が出ている
  • 怒鳴る、物に当たるなどの行動を自分で止めにくい
  • 自分やほかの人を傷つけそうになることがある

これらは、自分で病気かどうかを診断するためのチェックリストではありません。セルフケアだけで抱え込まず、相談したほうがよいかを考える目安です。

心身の不調について相談したい場合は、かかりつけ医や精神科・心療内科などの医療機関があります。

どこへ相談すればよいか分からない場合は、地域の精神保健福祉センターなどの公的機関を利用できます。厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」は、電話をかけた地域の公的な相談機関につながる全国共通番号です。

こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556

相談時間は地域によって異なります。

今まさに自分やほかの人を傷つけそう、暴力を止められないなど、差し迫った危険がある場合は、原因の分析より安全確保を優先してください。相手や危険な物から距離を取り、一人で対処できない場合は周囲の人や緊急の支援を求めます。

怒りが抑えられないときに、最初からすべてを変える必要はありません。

まずは怒っている間に大事な行動を決めないことから始めます。爆発を避けられるようになったら、自分が怒りやすい条件を一つ見つけて変えてみてください。

それだけでも、怒りに振り回される回数を少しずつ減らしていけます。

参考文献

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